装束稲荷神社と言えば「王子 狐の行列」の出発地点として有名ですよね。
編集員Bも昨年の大晦日、行列を見に行きました。地元の方はもちろん、外国の方も多くて、ワイワイ賑やかにとても楽しかったのを覚えています。
装束稲荷神社とは?
王子のこの辺り一帯はかつて一面の田畑でした。その中に大きな榎(エノキ)の木がありました。
言い伝えによると、毎年大晦日の夜、関八州(関東一円)から集ってきた狐たちがこの榎の下で衣装を着替え、王子稲荷神社に参詣したそうです。その為、この榎は「装束榎(しょうぞくえのき)」と呼ばれていました。
この絵はその言い伝えを基に描いた江戸時代の錦絵。
出典:歌川広重 「名所江戸百景 王子装束ゑの木 大晦日の狐火」 国立国会図書館蔵
大きな榎の木の周りに狐が集まっていますね。右奥にもたくさんの狐のシルエットが見えます。
そして見渡す限りの田畑。冬の寒い夜、キーンと張り詰めた空気と厳かな雰囲気が感じられるようです。
今の王子の賑やかさから比べると、考えられないくらいの静けさだったのでしょうね。
地元の人々は狐たちが灯す狐火が多いか少ないかによって、翌年が豊作か否か占ったそうです。一説には、この狐火、明治頃まで見られたともいわれています。
1929年、道路拡張に伴い榎の木は切り倒されてしまい、装束榎の石碑は現在の場所に移動させられました。その後、装束榎の石碑がある場所に装束稲荷神社が建立されました。
「年の一夜王子の狐見にゆかん」
江戸時代前期の俳人、山口素堂の俳句にもあるように、王子の狐は何百年も昔からの伝承なんですね。
境内にある装束榎の石碑。
装束稲荷神社の御朱印
装束稲荷神社の社務所は、普段は誰もいらっしゃいません。
初午(はつうま)祭、二の午(にのうま)祭の日のみ社務所を開けるそうです。
初午(はつうま)とは2月最初の「午(うま)の日」、二の午(にのうま)は、2月2回目の「午(うま)の日」のことです。
2021年は
・初午は2月3日(水)
・二の午は2月15日(月)
とはいえ、上の2日間以外でも装束稲荷神社の御朱印がいただけたら嬉しいですよね。
初午、二の午以外の日では、道を挟んで反対側にあるヤマワさんで書置きの御朱印を頂くことができます。
編集員Bが伺ったときは4種類の御朱印の中から選べましたが、もともとは6種類あったそうです。書置きの枚数がたくさんあるわけではないようです。初穂料は全て300円となります。ヤマワさんについては詳しくは後述しますね。
こちらはを火防凧をモチーフにしたような御朱印。お店の方が日付を書いてくださいました。
こちらは装束稲荷と書かれた御朱印。力強い書体でとっても好みです。流れるような書体のものもありました。
狐がいっぱい!ヤマワさんの魅力
ヤマワさんは装束稲荷神社のすぐ目の前にある主に陶器を扱っているお店です。店頭も店内も狐グッズがいっぱい。見てるだけで昨年の狐の行列が思い出されて、なんだかワクワクしてきます。
書置きの御朱印があるとは店内のどこにも書いていないのですが、店員さんに御朱印の有無を聞いてみると奥から出してくれました。レジの手前には狐のおみくじなどが置いてありましたよ。
店頭ディスプレイも狐・狐・狐。狐のお皿がとってもかわいい。
ガチャガチャも狐でいっぱい。
店内には、たくさんの狐のお面が飾られています。
店内には狐の行列に参加する際にかぶるための狐のお面がたくさん飾られており、通年で販売されていました。
顔全体を隠すお面もあれば顔の半分を隠すお面もあります。昔ながらのシンプルなお面もあれば、凝った造形でカラフルなお面も。たくさんの狐のお面を見ていると、ベネチアのカーニバル(お面をかぶって豪華な衣装を着て広場で踊る祭り)を思い出しました。日本人からしてみると宗教的な意味合いを持つ狐の行列ですが、海外の方からするとみんなで参加するお祭りの一種なのかもしれませんね。
あのベビーメタルに使用された狐のお面を見つけちゃいました。
ついついお面にみとれていると、見つけちゃいました。
なんと!世界で大人気、あのベビーメタルさんの2013年の曲「メギツネ」で使用されたのと同じ狐のお面が販売されていたんです。
可愛らしい女の子とヘビメタの合体に最初は驚きましたが、何度も聞いているとだんだん癖になってきました。編集員B、ファンになりそうです。
大晦日の一大イベント「王子 狐の行列」
地元の方々が王子の狐火の話を再現しようと、1993年大晦日の夜に「狐の行列」が始められたのが始まり。狐のお面をかぶり裃姿の人たちがお囃子の中、装束稲荷神社から王子稲荷神社までねり歩きます。日本の古い文化や風習を生かした新しい街づくりに取り組まれている姿、本当に素晴らしいです。
1999年には「狐の行列」が地域づくり団体自治大臣表彰を受賞されたそうです。
2020年度の狐の行列のレポートはコチラ↓
境内の様子
朱塗りの木の鳥居と石の鳥居が重なるように連なっています。その奥にある拝殿。お賽銭箱には狐と稲がモチーフになったデザインが。
社名額としめ縄。
手水桶
なんともワイルドな手水桶。
狛狐
鍵をくわえた狛狐。
こちらの狛狐は毬を抱えています。
王子の狐の石碑
「いざあけんゑびや扇屋とざすとも 王子の狐かぎをくわえて」と書かれた石碑。
蜀山人(しょくさんじん)の名前でも知られる大田南畝(おおたなんぽ)の俳句が彫られています。
南門
南から入ることのできる鳥居もあります。春には藤の花が咲き誇ってとてもきれいですよ。
藤の花のレポートはこちら↓
装束稲荷神社の御祭神・御利益
御祭神は宇迦之御魂神(ウカノミタマノカミ)。ご利益は五穀豊穣・商売繁盛。
アクセス・行き方
JR京浜東北線王子駅から徒歩5分程度。
王子駅北口を出たら左へ曲がり、北本通りを進みます。ほりぶんさんが見えたら右折します。
一つ目の角を左折します。目印はキッチンオリジンさん。
装束稲荷神社が左手に見えてきます。
装束稲荷神社周辺のおすすめグルメ
1:かいらく
地元民に愛される人気の町中華で、ワンタンメンが人気です。スープは飲めば、幸せ感が込み上げてくれるよ。
2:そば処 梅の家
昔ながらの江戸情緒あふれる店内がとても落ち着きます。おそばも美味しいですが、焼肉定食は、その濃厚なタレがとっても美味しく、ご飯が一気にすすみます。
3:石鍋商店
王子にある明治創業の老舗の甘味処。130年以上続く石鍋商店の名物は久寿餅です。