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大正9年4月に王子警察署が飛鳥山で取り扱った最も多かった事件は?

前回、大正9年の飛鳥山の花見における泥酔者の統計を記事にしました。

飛鳥山 桜
飛鳥山で大正9年の花見での泥酔者の職業・学歴・お酒の種類・年齢別の人数が判明! 桜の名所、飛鳥山。 そしていつの時代も花見にお酒は欠かせないですよね。 飛鳥山には戦前、お花見の時期に泥酔者救護所という...

今回はその続き。
現在はもちろんのこと、大正時代の飛鳥山の花見も大変賑やかでした。
飛鳥山 桜

花の飛鳥山には數萬(すうまん)の花見連が押寄せてくる。化物のように變装(へんそう)した男女の群が、三味線を擔(かつ)ぎ、酒壜を提げて、長蛇の陣を造つてをる。

人が集まってお酒を飲んだら、もう何かしらの事件が起きますよね。

王子警察署が大正9年4月の花見の時期に取り扱った事件の件数の統計

王子警察署が大正9年4月の花見の時期(蕾から葉桜までの半月の間)に飛鳥山で取り扱った事件の件数の統計がこちら。

喧嘩 34件
掏摸被害(スリ) 6件
カツパラヒ 11件
泥酔者 600件
遺失物 341件(内物品201件、金885円)

泥酔者が多いのは前回の記事にも書きましたが、遺失物の341件もかなりの件数です。

ちょっと時代が違いますが、大正後期のお給料はこんな感じ。

会社員(大卒)の初任給(月給)は50~60円。

肉体労働者の平均賃金が日給2円50銭。

女性(職業婦人)の平均月給は、タイピスト40円、電話交換手35円、事務員30円。

余談ですが、米の価格は1升あたり50銭だったそう。

遺失物の現金885円は現在でいうとサラリーマン約18人分の初任給ということになりますね。なんとすごい金額!

飛鳥山 桜

喧嘩も34件とそこそこ多いです。

飛鳥山は大きな團體(だんたい)の花見がないから、従つて大喧嘩もない。然し、殺気の漲るやう亂戦(らんせん)が開かれる場合がないでもない。

今と比べて娯楽が少ない時代、飛鳥山に来てはめをはずす人も多かったのでしょうね。
中には「入口出口」や「遺失物取扱所」といった掛札を持ち帰ってしまう人もいたそうですよ。

大正時代の飛鳥山に思いをはせつつ、お酒はほどほどに、と思う次第です。

参考にした文献等:
・レファレンス協同データベース(国立国会図書館が全国の図書館等と協同で構築しているデータベース)
  (https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000151788)
・卜部幾太郎「人と酒」京文社(1922年)
   注:引用部分のカッコ書きは赤羽マガジンの追記