
赤羽西口のもぐらは、溶岩石と炭で焼き上げる串焼が人気のお店。
その串焼きに欠かせない「塩」。なんでも年間を通して同じ味を提供するため、毎週塩を変えてるんだって!
いったい、なにゆえ!!!どういうことなのか。
店主に聞いてみました。
毎週、天気を見ながら塩を変えてるんです。

「ベースで使っている塩があるんですよ。静岡の塩なんですけど、美味しいので、基本的にいろんな料理に使っています」と語る店主の根岸さん。
「塩によってマグネシウムの多さだったりとか、ナトリウムなどの含有量を見ながら、例えばこの週は気温も高いし、湿度も高かったから、こうしたほうがいいだろうなとか。感覚的な話なんですけど」と落ち着いた声で語ります。
「例えば、湿度が高い。湿度が高いとどうなるかっていったら、やっぱり塩が固まりやすくなるんですよ。同じように振っても、出方が変わっちゃう。いつも食べてる方が『いつも一緒』ってなるように、こっちで調整するんです。だから、固まりづらいようなブレンドにするとか」

さらに、湿った日が続いたりすると塩に火を入れ、水分を飛ばしてサラサラの状態に。そのあと、ざるでこして粒の大きさまで揃えるそう。
「大きい粒があると、出てこないんですよ」
なるほど。味だけじゃなく、串に振ったときの“塩の出方”まで揃えているんですね。
食べる側が感じる味は季節によって変わる

店主によると、まったく同じ塩を同じ量だけ使っても、食べる側が感じる味は季節によって変わるそう。
暑い夏と寒い冬。一年中まったく同じ塩加減にしていると、逆に「今日は薄いな」「ちょっとしょっぱいな」と感じられてしまうことがある。
「お客さんの方が、その時期によって変わるんで。同じことをやってると味が変わっちゃうんですよ。」
あああ、そういうことか!
だから季節に合わせて少しずつ塩を変える。
その結果、お客さんは「今日も美味しいね。」「今日もいつもの味だね。」となる。
毎週同じことをするのではなく、毎週少しずつ変えることで“同じ味”を作っているんですね。
ヒントになったのは「ある有名な駅弁」

この考え方のヒントのひとつになったのが、根岸さんが以前テレビで見たという、ある有名な駅弁の話。
「昔、マグロの角煮って入ってたんですよ、ある有名な駅弁に。あれを季節によって味付けを変えるってテレビでやってたんですよ。夏はちょっと塩分を強めにするって。『あ、そういうことなんだ』と思って」
季節によって少しずつ味付けを変えながら、食べる人には「いつもの味」と感じてもらう。根岸さんは、そんな考え方を自分の串焼きにも取り入れていったそうですよ。
僕、ずっと塩を研究してるんです。

「僕、ずっと塩を研究してるんです。塩と卵はもうずっと。難しくて、いまだに全然先が見えないんですけど」そう話す根岸さん。
例えば、旅行や出かけた先で道の駅などに立ち寄ると、塩を探すのがもう習慣になっているそう。「塩を見つけたら必ず買ってきて、舐めてみるんですよ。『あ、これだったら、あの料理に使ったら美味しいかな』とか考えて、とっておくんです」
これまで試してきた塩は、数100種類を超えるほど。ご自宅にも今まで買ってきたたくさんの種類の塩があるそうな。

そんな根岸さんが最近出会って「めちゃくちゃ良かった」というのが、「ローソク島の塩」。「ミネラルがすごく多いんで、柔らかいんですよ」
この日は、普段ベースにしている塩と、そこにローソク島の塩を混ぜたものを実際に見せてもらいました。

「これ、3%だけ入れてます」「これをちょっと入れるだけで、全然違うんですよ」
へええええ。たった3gでそんなに変わるのか。でも、秋になって、ちょっと過ごしやすい気温になってきたら、もうあんまり余計なのはいろいろ入れる必要がなくなるんだって。
季節が変われば、また配合も変える。去年作った塩の組み合わせも見返しながら、「去年の秋はこうだったな」と、その時期の気温や湿度に合わせて少しずつ組み直していくそうですよ。
焼いてる時の店主の脳内を垣間見る。
もぐらでは、溶岩石と炭を使って串を焼いていますが、焼き台の中でも火の強い場所と弱い場所があります。
「高い温度で焼いた方がいいものと、弱いところでずっとじっくり焼いた方がいいものがあります。」
最初は火の強い場所。ある程度火が入ったら弱い場所へ。
串の形によっては斜めに置いて、肉の厚いところと薄いところに同じように火が入るよう調整することも。

さらに盛り合わせでは、
「これを同時に提供するために、焼き始める順番と、この位置だったらこのくらいで焼けるっていうのを調整していきます。」
火が通るのに時間のかかる串から先に焼き、途中から別の串を入れ、焼く場所も移動。
最後は全部がほぼ同じタイミングで焼き上がるようにする。
一皿の盛り合わせの裏で、そんなことしてたのか!なんか、焼いてる時の店主の脳内が垣間見えます!

最初は「毎週、塩を変えてるってどういうこと?」と気になって、お話をうかがったんだけど。
天気や湿度を見ながら塩を変え、粒の大きさまで揃え、串ごとに焼く位置や順番まで細かく調整していることが分かって。
そこまでやって目指しているのは、派手に味を変えることではなく、
「今日もいつもの味だね」
と思ってもらうこと。
いや~、何気なく食べていた一本の串の裏側に、こんなに細かい仕事が詰まっていたとは。
次にもぐらで串焼きを食べるときは、塩の一粒一粒まで気になってしまいそうです(笑)。
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※この記事は赤羽マガジン編集部が現地取材および公式情報をもとに作成しています。
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