北区花火会運営委員会の星川さん!2年前から運営に携わってます。

よりいい花火大会にしたいと、北区花火会の花火を打ち上げる「花火界の魔術師」と称される、山梨県の日本最高峰の花火会社「株式会社マルゴー」へ修業に行ったそうな。
いったい、花火師の現場で何をしてきたのか。
星川さん本人に語ってもらいました!
――そもそも、なんでマルゴーに修業に行くことになったんですか?

きっかけは、マルゴーの齊木歩夢さんです。
歩夢さんは今の社長の息子さんで、僕の1個下なんですよ。年齢的にも世代が近くて、北区花火会には僕と同じ3年前くらいから入ってもらっています。
打ち合わせから当日、もっと言えば最後の片付けまで一緒にやっていて、企画段階からかなり入ってもらっているんです。
飲みに行ったりして仲良くなっていく中で、歩夢さんから「一回、現場を見てほしい」って言われたんですよ。
僕も「全然見てみたいです」って、結構軽い気持ちで言ったんです。
そしたら「じゃあ、この日空いてますか?」って(笑)。
ただ、花火の現場って誰でも入れるわけじゃないんですよ。
「煙火消費保安手帳」というものがあるんです。
花火には、花火の玉から安全を確保するための「保安距離」があって、花火を設置した段階から、そのエリアに入れる人は限られます。
僕も現場に入るために、山梨まで行って煙火の消費に関する講習を受け、「煙火消費保安手帳」の交付を受けました。
マルゴーの本社と工場がある山梨県市川三郷町ですね。
そこから「じゃあ現場に入ってください」ってなって、最初に行ったのがお台場の「STAR ISLAND」。
今年5月が、僕にとって初めての花火師側の現場でした。
――実際、花火の現場に入って何をするんですか?

まず、運びます。
花火って大型トラックで運ばれてくるんですよ。
打ち上げ花火を入れる筒があるんですけど、まずその筒をトラックから下ろすところから始まります。
筒は5本1セットになっていて、それをみんなでリレーみたいに下ろしていって、ずらーっと並べていく。
1本の筒に対して、基本的に1個の花火玉が入ります。
並べたら、今度は全部固定していくんです。


花火って打ち上がる時の衝撃がすごいので、筒がずれちゃうと向きが変わって、どこに飛んでいくか分からなくなる。
だから全部ひとまとめにして、自重で動かないように固定する。ちゃんと真上に上がるようにするんですね。
それが終わったら、今度は点火するための線を一本一本つないでいきます。
花火一個一個から線が伸びていて、それを「モジュール」という機械につないで、さらに点火器までつながっていく。
これを一本一本やっていくんです。
全部つなぎ終わったら「点火チェック」です。
例えば「34の2と3だけ出ません」ってなったら、そこをチェックしに行く。
線が抜けているのか、端子がダメになっているのか。
全部の導通をチェックして、オールOKになったら、ようやく準備が終わります。
――これ、花火大会の当日に全部やるんですか?

基本的には当日ですね。
ただ、大きい現場だと何日も前から入ります。結局、それくらい作業に時間がかかるんです。
北区花火会は前日と当日の2日間ですね。
ちなみに雨は大丈夫なんですよ。
雨の予報が出たらビニールみたいなものをかぶせたりして、雨が入らないようになっています。
――準備が終わって、いよいよ花火が上がったら何するんですか?

打ち上げが始まる時は、作業着に着替えてヘルメットをかぶります。
それで、一人一本、消火器を持つんですよ。
花火って、地上に落ちるまでに消えないものがあるんです。
それが草なんかに落ちると燃える。
だから各ポイントに散らばって、落ちてきた火を消火していきます。
結構、消火しますよ。
ちょこちょこ落ちて、しばらく燃えているものがあるので、それを見つけたら消していく。
モグラ叩きと同じような感じですね(笑)。
その間も、ずっと花火は上がっています。
燃えカスも落ちてきますよ。
ヘルメットに、
「パサパサパサパサ」
って。
熱くはないんですけど、「頭に燃えカスが落ちてきているな」っていう感覚はあります。
お客さんからは見えないですけど、花火の下ではみんな消火器を持って、そういうことをやっているんです。
――花火が終わったら「お疲れさまでした!」じゃないんですか?

終わらないです(笑)。
そこから撤収ですね。
まず、燃え残りがないか確認します。
打ち上がらなかった花火とか、上がったけど開かなかった花火とか。「黒玉」って言ったりするんですけど、そういうものがないかをチェックします。
問題がなければ、設置した筒の固定を全部外して、またトラックに積んでいく。
線も全部まとめて、最後は掃除までします。
規模にもよりますけど、花火が終わってから1時間半とか2時間半。大きな現場だと3時間くらいかかることもあります。
花火が終わったから、そのまま帰れるってことはないですね。
――そこまでやって、北区花火会に何を持ち帰ろうと思ったんですか?

僕が思っているのは、運営側と花火会社さんって、どうしても「元請けと下請け」みたいな関係になってしまいがちだと思うんですよ。
こっちが花火会社さんに発注するわけですから。
でも僕としては、そうじゃない。
同じ「北区花火会」というエンターテインメントをつくる仲間なんです。
本当に同じ仲間になるためには、自分たちの運営のことを知ってもらうだけじゃなくて、僕も花火師さんたちが何に困っているのか、どんな大変さがあるのかを知らないといけない。
実際に現場に入ってみると、本当に炎天下の中、7時間、8時間、ぶっ通しで作業することもあるんですよ。
そうすると、お弁当が楽しみなんです。
もう、本当に唯一の楽しみみたいな(笑)。
これも自分がそっち側に立ってみて初めて分かりました。
以前、北区花火会で手違いがあって、お弁当がうまく行き届かなかったことがあったんです。
でも現場に入ってみると、
「これ、絶対やっちゃいけないな」
って思いました。
例えば「12時まで頑張ろう」ってみんなで作業している。
12時になった。でも、お弁当が届いていない。
そうすると、そこからの作業スケジュールも全部崩れちゃうんです。
運営が思っている以上に、お弁当って大事なんだなって。
そんなことも、現場に入ったから分かったことですね。
――マルゴーの花火師さんたちと一緒に働いて、印象に残ったことは?

今年20歳になる若い花火師がいるんです。
マルゴーがある市川三郷町は「花火の町」と言われるくらい花火が盛んな町なんですけど、その子は幼稚園のころからずっと「花火師になりたい」って言っていたそうです。
歩夢さんも、その子が幼稚園のころから知っている。
そして18歳になって、いよいよ花火師として働き始めた。
でも、実際に仕事にしてみると大変なこともあったみたいです。
いろんな年代の人がいるし、人間関係もある。
それで一度疲れてしまって、仕事を休んだ時期があったらしいんですよ。
その時、歩夢さんが北区花火会のチケットを自腹で買って、その子に渡したんです。
「一回、客として花火を見てこい」
って。
花火が好きだった時の自分を思い出してみろ、ということだったんだと思います。
それが2年前の北区花火会です。
その子は休んでいる期間中に、お客さんとして北区花火会を見に来た。
そこで、たまたま闘病中の男の子と出会ったそうなんです。
その男の子は長い闘病生活を送っていて、この花火を見るために頑張ってきた。
そして花火が終わったあと、
「来年もこの花火を見に来たいから頑張る」
という話をしてくれたそうです。
それを聞いて、その若い花火師は、
「俺は何を悩んでいたんだろう」
って。
自分は、こういう人たちに感動を届けるために花火師をやっているんだ。
こんなことでくじけていたらダメだ。
もう一度、花火師として人に感動を届けようって。
僕は今回、その子と1週間くらい一緒に現場に入る機会があったんですけど、誰よりもすごく頑張っていました。
若い花火師の思いというか、本当に花火に命をかけている人たちの思いを知れた。
それは自分にとって、すごく大きかったですね。
――全国の花火大会を見て、北区花火会をどうしていきたいですか?

普段は運営側の仕事をしているので、どうしても「自分たちが北区花火会をつくっている」みたいに錯覚してしまいがちなんです。
でも、演出する人たちがいなければ北区花火会は成り立たない。
花火師さんがいて、音響さんがいて、ムービングライトの人たちがいる。
その人たちが力を発揮できてこそのエンターテインメントなんです。
僕たちは、あくまで裏方。
主人公は花火師さんだったり、演出をする人たちだと思っています。
だから、そういう人たちが本当に気持ちよく作業できるようにしたい。
終わったあとに気持ちよく帰って、
「また来年も頑張ろう!」
と思ってもらえるような環境をつくる。
それが僕にできることかなと思っています。
今年はお台場、山中湖、豪華客船向けの花火、そして宇都宮と、4つの現場に入りました。
外を見ると、やっぱり「井の中の蛙だな」と思います。
上には上がいるんですよ。
例えば宇都宮は、花火を設置している横の長さ、僕らは「ワイド」って言うんですけど、それが北区花火会の倍くらいある。
それだけワイドに花火を見せられる。
北区花火会には東京の花火大会だからこその地理的な制約もあります。
だから、そこでどう工夫するか。
規模だけじゃないと思うんです。
運営面もそうだし、スタッフのホスピタリティもそう。
ほかの花火大会から、
「あの花火大会をお手本にしたい」
と思ってもらえるような花火大会をつくれたらいい。
目指すべきところは、
「誰もが認める、日本一の花火大会」
だと思っています。
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